北極圏の先住民の住居に、氷を煉瓦のように切って積み上げて造るものがあるというのは、よく聞く話だが、北極圏に近い北スウェーデンのラップランド地方には、なんと、氷で造ったホテルがある。このホテルは、ユッカスヤルビという村にあり、現地語で「イグルー」と呼ばれる氷の家を巨大にしたもの。近くの湖から切り出した氷で造られており、二〇〇人の客が泊まれる大きな建物で、もちろん、氷で造られた建物としては世界で最大だ。しかも、たんにホテルの建材が氷というだけでなく、このホテル、こった演出で北極圏らしさを出している。旅行者がユッカスヤルビにいくには、ストックホルムから国内便で九十分ほどのドウントレッドという街から、ふつうは車でいくのだが、このホテルでは、予約しておくと、犬ソリで迎えにきてくれるというものだ。ホテルの内装もすべて氷。バーのカウンターやスツールも氷なら、ベッドまで氷でできている。寝室は個室ではなく、ユースホステルのように、棚になっているのだが、その棚までが氷なのだ。この棚式のベッドにトナカイの皮を敷いてあり、その上でスリーピングバッグにもぐりこんで寝るのである。あちこちの棚にローソクの明かりがともっており、ひんやりした空気とあいまって、なんとなく遺体安置所のように見えなくもない。とはいっても、スリーピングバッグの中はけっこう暖かいし、室温も摂氏十度ぐらいある。ただ、暖かくなりすぎると氷が溶けてしまうので、いくつかの天窓は開けっぱなし、というワイルドさ。運がよければ、天窓からオーロラを眺めながら寝ることもできるのだ。
少なくともボラれずに、店側にまともな商売をさせるためのテクニックがいくつかある。まず、早朝まだ商品を並べているうちから面白そうな店を覗くこと。プロの商人は、7時頃から市に出かけて掘り出し物を見つける。そうしたやりとりを見ているだけでも勉強になる。逆に10時以降は、完全に観光客相手の商売なので、この頃には引き揚げる。次に、欲しいものがあったら、片言の英語でいいから商品の内容を聞いて、それを紙に書いてもらい、ホテルに帰ってコンシェルジェなどに読んでもらうといい。また買う時は、最後まで迷っているフリをして、欲しいということを素直に出さないこと。店側も本当に買ってくれる人は少ないから、そういう客には「○○フランならどうだ」という条件を出す。そこからが本当の値段交渉開始だ。買う時は、できるだけ小銭を持っていって、これぐらいしか持っていないと粘ること。それもあちこちに分けて入れておいて、店側が相当下げてきたら、探してみたらあったという顔をしながら必ず現金で払う。
松本清張の小説、『砂の器』には出雲の言葉がちょっと東北弁に似ているということが出てくる。島根県は出雲、石見、隠岐の三国からなるが、石見や隠岐の方言が関西弁に近いのに対して不思議なことに出雲の言葉だけは違うのだ。建国神話によれば、大国主命が国譲りして天照大明神に日本列島の統治を認めたことが国づくりのクライマックスになっている。現世を譲った大国主命のほうは黄泉の国の支配者となり、大和朝廷は出雲大社を建て、神として祀った。不思議なことに社殿のなかで主神である大国主命は正面に向かって横を向くという奇妙な形で祀られている。これを、崇りをおそれた大和朝廷が霊魂を封じ込めるために建てた神社と説明をしているのが作家の井沢元彦氏である。神々の時代についての話は具体性に乏しいとしても、『日本書紀』によれば、崇神天皇のころ出雲では、領主が筑紫へ行っている留守に、その弟が神宝を天皇に差し出したことで兄弟の間で内紛が起きたが、親大和朝廷派が勝利を収めたということが書いてあり、日本統一をめぐる大和朝廷と北九州との主導権争いの中で出雲の向背が重要な意味を持ったことを示している。
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